人間発達研究所共同研究基金(利用の手引き)改訂版
人間発達研究所の共同研究基金の性格
人間発達研究所では,全ての研究活動の成果が研究所全体の共通の財産になるよう積極的に交流し合う事が求められていますが,「共同研究基金利用の研究プロジェクト」,についてはさらに「研究計画や研究成果が人間発達研究所の運営委員会で審査され,総会で承認を受ける事」(第2回総会)を義務づけています.
言い換えると,共同研究基金を利用した研究プロジェクトは,人間発達研究所の共同研究としてスタートします.
そしてこれらについては,研究所として研究成果を何らかのかたちで普及することによって,使用した基金の回収を目指します.共同研究参加者は基金回収の直接的な責任を負うわけではありませんが,研究内容を高め,期待に応えうるような研究成果を創りだす事に第一義的な責任を負います.このために,共同研究基金の申請にあたっては,研究計画書を提出し,運営委員会で審議がなされます.
また,この基金はある程度まとまった予算を必要とする研究活動を進めるためのものです.具体的には,300万円の基金の中から,1共同研究あたりおおむね100万円までを支出します.そして,全体で毎年100万円までの基金利用の共同研究をし,研究期間を最長3年として運用します.
共同研究基傘利用研究プ田ジュタトの採否を判断する基準
運営委貞会での審議は,以下のような点に注目します.
第1に,「共同研究基金利用の研究プロジュクト」のメンバーは,基本的に人間発達研究所の会員であること.
第2に,人間発達研究所の共同研究として行う意義と必要性が明確になっていること.
第3に,発達保障の取り組みを直接・間接に励まし,あるいは発達研究を多面的に発展させることをめざしていること.同時に研究テーマ,方法が人権侵害をまねいたり,発達保障の取り組みを阻害するおそれのないこと.
第4に,上記の原則とともに共同研究基金の性格から,比較的規準の大きな研究を発展させること.
第5に,研究の成果が,国民の期待に応えうるものであること.
具体的には,公的・半公的な研究助成を受けにくい人たち(現場の実践家・大学院生など)の研究活動などへの配慮を重視します.また,予算的に大きくないものについては通常の共同研究費から執行することも検討します.
共同研究をすすめるにあたって
(1)科学運動としての共同研究
共同研究基金のねらいの一つは,共同研究を積極的に進めるということです.
これは,人間発達研究所の設立の趣旨にもありますが,多くの知恵を集めれば研究が発展するという,簡単で単純なものではありません.専門が異なったり研究や実践の視点が異なる人たちが集まって共同研究を始めること自体が“運動”としての側面をもちます.さらに,往々にして個人主義的になりがちな研究を集団主義の原則に立って,共同研究の中で個人が発達しながら研究をすすめるという,いわばあたらしい研究スタイルを作ってゆく科学運動の大切な分野です.
(2)共同研究をすすめるための教訓
その際,人間発達研究所での教訓に次のようなことがあります.
まず,共同研究に参加する仲間を作っていくこと.その人たちの中で研究テーマや研究方法についての意志統一が必要であり,さらにその研究活動をささえる組織活動が必要です.実務的な作業の多くは,研究所事務局でも可能ですが,そうした段取りを組む世話人が是非必要です.さらに,共同研究チーム中の研究的な交流を進めるニュース作りなども共同研究チームを広げてゆくうえでは大切です.また,共同研究チームの参加者が,それぞれ遠隔地のためになかなか集まれないということもありえます.合宿などや“書き言葉”を使った討論など新しい形態の共同研究が必要でしょう.
また,参加者の研究的意志統一が可能になるよう学習括動に留意する事も必要です.場合によっては,講演会やシンポジュームなども大切です.このような共同研究の過程では,実務的なことを中心に人間発達研究所(事務局)としての可能な援助を行うことは当然ですが,共同研究の進行のための組織を共同研究チーム内部で作っていっていただくことが必要になります.
(3)(研究計画をたてるにあたって)共同研究の組織活動
この共同研究基金を利用する共同研究(研究プロジェクト)は,人間発達研究所全体がその意義を認めて応援するものです.従って,共同研究のチームは人間発達研究所の会員である事が原則です.機械的にその原則をあてはめることはできませんが,共同研究のメンバーであって,会員でない人の場合,共同研究の企画の段階で会員にどのようにして迎え入れるのかなどについても是非検討して下さい.同時に,共同研究に不可欠なメンバーで会員でない場合,規約にある嘱託研究員の制度などの利用も検討して下さい.
(4)(研究計画をたてるにあたって)基金利用の共同研究における予算
「共同研究基金利用の研究プロジェクト」では,1本につきおよそ100万円までの研究費を予定しています.計画書では,その予算内容(支出科目および摘要額)をしめすとともに,その執行に責任をもつ財政責任者を共同研究チームの中で決めて下さい.「共同研究基金利用の研究プロジェクト」の申請が許可された場合,財政責任者は,出納簿をつけ,研究所運営委員会の求めに応じて支出内容などを説明できるようにして下さい.例えば,会議に参加する旅費,会議の会場費,研究のために必要な文献や資料・機材の購入,印刷費用(調査用紙や報告書),作業のための委託費用などがおもな科目として考えられます.なお,原則として共同研究チーム参加者の人件費については執行を認めません.
また,購入した文献や機材は,研究終了後研究所が管理し,全体で利用できるようにします.報告書の印刷については研究所の事務局が担当することもできます.なお報告書の印刷費は,数十万円の一支出が必要となり,実際の研究費を圧迫します.こうした実務について人間発達研究所の事務局などで対応することで,支出を減らすことも可能ですので,申請時あるいは予算をたてる際に是非ご相談下さい.
(5)(研究計画をたてるにあたって)共同研究成果の発表
研究活動は期日を区切って進めるように計画してください.共同研究基金利用の共同研究では,最高3年を研究期間の目途にしています.その中で人間発達研究所研究集会での報告や報告書作成,他の研究会や学会発表などを節にして中間報告をしながらすすむように計画して下さい.
共同研究の成果の発表については,研究集会や紀要での発表が優先され,義務付けられています.他の場所で発表する場合は,人間発達研究所の共同研究基金を利用した事を明記して下さい.
最終的には,報告書を発行し,その販売などを研究所全体で取り組むことで,研究成果の普及と費用の回収をめざします.
この制度は人間発達研究所として積極的に取り組みながら内容を豊かにしたいと考えています。会員のみなさんの積極的な利用をお待ちしています。
1998年11月人間発達研究所運営委員会
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